遺言書の種類

遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、手続き等が異なります。秘密証書遺言はほとんど利用されないので、ここでは自筆証書遺言、公正証書遺言について説明します。

自筆証書遺言

文字通り、自分で書いて遺しておく遺言書です。手軽で費用も掛かりませんが、全文を遺言者自身が自筆で書かなければなりません。代筆として本人以外が書いたものは無効となります。高齢のため、またはご病気等で文字を書くのが容易でない状態の方には不向きと言えます。またこの自筆証書遺言は保管場所等については遺言者の自由ですが、家族に遺言を書いたこと、どこにしまってあるかなどを話しておく必要もあります。この自筆証書遺言が遺言者の死後、発見された場合には、家庭裁判所の「検認」という手続が必要になります。これに2〜3ヶ月程度かかるなど、デメリットもあります。

新しい制度「(法務局による)遺言書保管制度」

“遺言書”をもっと国民の間で普及させ、遺産相続の紛争を防止したり、遺言書の存在に気付かないまま遺産分割を行うリスクなどを減らすなどの目的で、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立、施行され2020年7月からスタートしました。

一部の法務局に「遺言書保管所」が置かれ、自筆証書遺言の”形式”を遺言保管官がチェックした上で保管してくれる制度です。ここで保管された遺言書は裁判所の検認が不要とされ、保管の手数料は3,900円なので費用が抑えられるメリットはありますが、遺言保管官がチェックするのはあくまで遺言の作成日付や書き方などの形式のみであり、遺言書の中身についてはチェックされませんので注意が必要です。後々のために、遺言書の内容に問題がないか、財産目録等に不備がないかなど、専門家にサポートしてもらうことをおすすめします。

公正証書遺言

証人2名以上の立会いのもと、公証人が読み上げる遺言書の内容を、遺言者が確認し、遺言者、公証人、証人それぞれが署名・押印して作成します。場合によっては公証人に出向いてもらい、自宅や入院先での作成も可能です。公正証書という法的にも強力な形式で作成、保管されるため、遺言の内容が確実に実現される可能性が極めて高く、家庭裁判所の検認手続きも不要です。公証人役場に手数料を支払いますが、その額は遺言書で相続させる財産の金額(目的の価額)が多いほど高額になります。

手続きの流れ(公正証書遺言作成の場合)

1 面談

ご依頼人の状況や、どのような遺言をお望みなのか、よくお聞きした上で、遺言の方式を決定し、手続きの概要をご説明します。

2 見積の提示

遺言書の方式により、またどこまでの業務を私共が受任するのかにより、手数料、報酬額が変わってきます。見積を提示させていただき、ご納得の上で委任契約を締結します。

3 委任契約書の締結

委任契約締結の際にご請求書を発行し、業務に着手します。

4 基礎調査

(1)相続人調査

誰が相続人に当たるのか、戸籍謄本等で調査し、相続人の範囲を確定します。

(2)相続財産調査

金融資産、不動産等相続財産の範囲と評価の確定を行います。

5 文案の作成

(1)必要書類の収集
(2)相続関係説明図の作成
(3)文案の作成

6 公証人との調整

(1)公証人との打ち合わせ
(2)公証人からの文案、費用の提示→ご依頼人に提示、確認

公正証書遺言作成のための公証役場に支払う手数料の例を以下に引用します。

遺言
遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。数人に対する贈与契約が1通の公正証書に記載された場合と同じ扱いです。したがって、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。
例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、3①の方式により、4万3000円です(なお、下記のように遺言加算があります。)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。ただし、手数料令19条は、遺言加算という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、1万1000円を加算すると規定しているので、7万2000円に1万1000円を加算した8万3000円が手数料となります。次に祭祀の主宰者の指定は、相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できないので、その手数料は1万1000円です。 遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成しますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料を加えます。この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料は不要です。

日本公証人連合会ホームページ

(3)作成日の調整

7 公正証書遺言作成 署名・押印

公証人役場において証人立ち合いのもと、遺言書を作成し署名、押印します。この日から公証人役場にて、遺言書が保管されることになります。

8 業務完了

(1)費用精算等

当事務所では、公正証書遺言作成業務の一環として、公正証書遺言の証人受託、遺言執行人の受託も承っております。

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